連載「石垣島の美味しいスパイス パナリ食堂」とは...
かつて渋谷で世界の「辺境」音楽を集めた伝説のレコード店「パリペキンレコーズ」を作り、現在は、石垣島に在住。「辺境」音楽レーベル「360°records」を主宰する 虹釜太郎(にじかまたろう)による、沖縄・石垣島発スパイシー料理生活コラム。
東京在住時代より、オリジナルの「スパイス」料理の実験を繰り返してきた虹釜が、スローライフでもなく、LOHASでもない、沖縄の島の生活を報告。
「パナリ食堂」とは彼の頭の中にある架空の食堂。そこでは、島の食材と世界のスパイスによるオリジナルメニューが、日々生まれている。この連載では、都会でしか暮らしたことのない人間が 島に移住するとどうなるのかの驚きととまどい、そして、そんな生活の中で考えた、一風変わったオリジナルスパイス料理を紹介する。
<   2006年 12月 ( 1 )   > この月の画像一覧
第6回  トロピカルジャムセッション
b0104576_1655105.jpg







この色は......何か?
これは石垣島の黒糖パンに「石垣島のパインソース」を塗ったもの。

●台風続きの島で、島ジャム各種のテイスティング
前代未聞の石垣島だけを襲う台風でまったく島から出れない観光客。
西表島や波照間島から石垣島に帰ってこれない観光客もいる。
台風で島に閉じこめられた、そんな女性だけの団体の旅行者が島の物産コーナーをうろうろ。
台風で三日連続観光できないジャンッ!!で怒りが頂点に達して、
脳が甘いものを欲しているのだろうか、島のジャムをがんがん買いまくっている。
石垣島パッションフルーツジャム、石垣島グアバジャム、石垣島パイナップルジャム....。
そんなに買ってどうすんの!?
って思って見ていたら自分も欲しくなってきた。

そんなわけで台風続きの島では、自分も黒糖パンで島ジャム各種のテイスティング。
ついでにジャムの歴史を調べると....

ノストラダムスは大のジャム好きだったそうで、彼のおすすめの果物と砂糖の理想的割合は7対2とのこと。
なるほどね〜。他にもいろんなジャムエッセイをじゃんじゃん読んでると、
石垣島で暮らして初めての、ジャムをいろいろ食べまくりたい衝動をおさえられなくなってきた。
そう言えば子供のころ、親の帰りも遅く、家におやつもなく、お金もなく、雨がざーざー降ってる時に、
冷蔵庫中のジャムをぜーんぶ食べちゃったことがあったよな。

日本の子供たち(特に昭和世代)は駄菓子のジャムパンを食べ過ぎた酷い体験から
無意識にジャム嫌いになってしまうことも多い。
ちなみに沖縄の中学生、高校生はあまりにカニパン食べ過ぎで
大人になってもたまに食べたくて仕方なくなるそうですが……。
おれもそんなジャムパン食べ過ぎの子供だったが、しかし、ついに今になって
アンズとホワイトチョコのジャム、コンフィチュールで、ジャムの世界に開眼!

b0104576_1753286.jpg







苺と檸檬とミルクのコンフィチュール。
きれいに二層になっているので視覚的にも楽しい。

ジャムとコンフィチュールは違うダロ!と言わないで。
フランス語でジャムはコンフィチュール。コンフィチュール=ジャム。
でも日本だと微妙にコーナーもいまだに違ったり、一緒だったり。
チョコ、ミルク、果物、野菜、酒そしてもちろんスパイスを使ったジャムが、
日本では、コンフィチュールっていうことになるんだろうか。
ジュレはさらにさらさらの感じのもの。
しかし「石垣島のコンフィチュール」ってのはあんまり聞かないね。
「石垣島のフルーツジャム」ですね、やっぱり。
しかし今後島のスパイスや乳製品たくさん使った
「石垣島のコンフィチュール」時代がいつか来るかもしれません。

さてコンフィチュール。
ホワイトチョコと果物の組み合わせに初めて遭遇した時は鳥肌ものだった。
けっこう高いお値段であったが、かなり中毒性があるものだった。
ホワイトチョコと果物のコンフィチュールをパンに、という組み合わせは、
ぼくが以前実験したミントアイスとライスの「アイスライス」の恐怖実験に比べると
至極真っ当な組み合わせ。
しかし、これに飽き足らなくなった自分は、タコスの皮にあわせたらどうなるのか、
日本の米だから甘いものとあわないのであり、やっぱりバスマティ米だったら合うんじゃない?とか
いろいろ実験を開始してしまったのだ。
……まぁその顛末はいつか報告するとしてて、ノストラダムスとジャムの話でした。
ノストラダムスは、ジャムの作り方と美顔術にもはまっていたそうで、
彼の該博な知識をもってすれば、そうとういろんなジャムの実験をしたんだろーな...
とつらつら思いながら、まとめて試していなかった、石垣島のハーブジャム、
を買いに市場に行こ〜っと……なんとなく足どりも軽く出掛けると、
とある宿の正面ロビーから怪しい音が。

b0104576_1772713.jpg








???

●DJエリマキトカゲさんのとあるジャム話
「……それはまさしく未知との遭遇であった、それは……」
というナレーションがスロビーのステレオから聞こえてくる。……これって、これってまさか?
そう。あの斉藤清六の幻のレコードである。
若い世代の方には、斉藤清六の説明をどうしたらいいものか...。
まぁ、日本が生んだ世紀の脱力お笑いキャラで、
いまでいうところの山崎邦生の元祖的な存在ということになるだろうか。
天然っぷりでは、全盛期のエビスヨシカズさんをも超える領域にいる
おそろしいお笑いアイドルであった方、といえばなんとなく伝わるだろうか。
その方が映画『未知との遭遇』仕立てで
「清六と人類の出会い、それはまさしく未知との遭遇であった」と
どでかいスケールの演奏で紹介されるレコードの音が、島の民宿のロビーから聞こえてくるとは…。
いったい宿の主人は何を考えているのか。
これは今回、ノストラダムスもびっくりのジャム実験をしろ!というメッセージなのだろうか!???
それとも、先日取り寄せたフィリピンの紫ジャムとアボガドのコンビネーション丼を試し、
それにあきたらず、トロロも加えてしまった南の神をも怖れぬ実験(すっごい味でした)の
たたりなのだろうか……

などと電波なことを考えていたら、とあるジャム話を思い出した。
友人の音楽ユニット「音がバンド名」をやっているツポールヌとヨヨヨっちゃんという方たちは、
東京の高円寺で週に一回、毎回違うゲストを迎えて、様々な実験ライブをやっていたのだが、
ある回のゲスト、DJエリマキトカゲさん(まーこのアーティスト名もどうかと思いマス..)を迎えた回では
「音がバンド名」サイドは
「おれたち今日はジャムセッションやるっす」
とエリマキ君に事前に宣言し、エリマキも快諾。
実際にライブがはじまったら、楽器は使わず、おたけびをあげながら、
ほんとのジャムをこねまくり、弾きとばしまくった!のである。
当然、DJエリマキトカゲの機材はジャムまみれ。
彼はまじでトサカにきた!という。
エリマキがトサカにくるとどうなるのか....とそんなことはどうでもよろしい。
そんなことを思い出しているうちに、はやくも島のハーブジャム売り場に到着。
さっそくいろいろ選んでみる。

「石垣島の手造りハーブジャム」のシリーズはいろんな種類がある。
ナネーズジャム。ヤモミジャム。アカバナージャム。ローゼリジャム。野バラジャム。
石垣島産レモンジャム。桑の実ジャム、ナネーズジャム。
ハイビスカスとローゼル、レモン、唐辛子がミックスされているアカバナージャム。
島胡椒ブレンドジャム、ピパーチジャム。う〜ん、どれにしようかな。
う〜ん。えーお客さんどうします。う〜ん、えーと、う〜ん、全部下さい!

b0104576_1724146.jpg







草苺ジャム
手書きで「草苺」!!

●揃いに揃ってはじまるジャムライフ!
というわけで、いま手元には島名物、黒糖ブレッド10人前とともに、石垣島のハーブジャム軍6瓶。
それに加えて、フィリピンから取り寄せた紫ジャム。温度差を超えてシード枠で参加する「紅芋アイス」。
そして筆者推薦特別枠として「アボガド」。今回、トロロ先生には辞退して頂いた。
なおジャムとイカ墨の組み合わせ........というのもちらりと頭の片隅をよぎったが、
これはもう事前に固く戦力外通告してお帰りいただいた。
あんまりそういう実験ばっかりしていると、タイトルも
「パナリ食堂」から「人外魔境!離島番外地食堂」と変更しなきゃいけなくなるから……。

大量のイカ墨を持っている巨大イカさんには、
このかわいいジャムが並んだテーブルからは海に引き上げていただくことにしまして....
イカ墨の塩辛は普段使わない第二冷蔵庫にしまい直しました。
近くにあるとついつい、パンにジャムと一緒に塗りそうなので。

さあ! 気を取り直してジャムライフ、スタート!

でもあんまりジャムばかり食べ続けると、お腹がもたれてしまうので、ハーブティーも各種類用意。
島にはかかせないとおもっている自分でブレンドしたハーブティー「ハイビスカス&ローズヒップ」、
「ゴーヤ茶」、石垣島特産「太陽のお茶」、頭がすっきりしない時は欠かせない「ミントティー」、
風邪の時にもいいブレンドハーブティー「レモンジンジャーティー」。
これに「シークァーサージュース」を加えたい時は適宜加えて飲む。というわけで、
揃いに揃ってはじまるジャムライフ!

............................................ずら〜〜〜〜〜〜っと美味しく試食した感想でいうと、
ジャムにパンもいいけど、ヨーグルトを加えてサラダにするのも美味しい。
特にアカバナージャム。もうひとつは、フレークとのコンビ。
乾燥マンゴ、乾燥グアバ、乾燥シークァーサー、乾燥パインをぜいたくに使った
島のオリジナルトロピカル味のフレーク。
野バラジャムとヨーグルトとトロピカルフレークとの組み合わせも素敵だ。
そういえば、まだ石垣島発のトロピカルフレーク、というのは聞いたことがない。
これ実現したら、またひとつ島の朝が楽しくなることは間違いない。
きっとノストラダムスも斉藤清六も、そして台風で外に遊びに行けない女性観光客も
満足してくれるであろう。

b0104576_16525795.jpg








虹釜@虹の七つ釜

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------
今回のパナリ食堂のメニュー

○パナリトロピカルフレークヨーグルトサラダプレート
乾燥マンゴ、乾燥グアバ、乾燥シークァーサー、乾燥パインをぜいたくに使った島のオリジナルトロピカル味のフレーク。石垣島パッションフルーツジャム、野バラジャムとヨーグルトとトマト、島のパイナップルのサラダ

○ニュージーランド産マヌカ蜂蜜と石垣島のパッションフルーツのババロア
ニュージーランドに自生しているティートゥリーの花から採れるはちみつをかけた
トロピカルババロア。マヌカ蜂蜜まるごとを割ったかけら添え。

○沖縄豚のパイ、島のパインソース
 さっくりパイ生地で、かくし味にクローブのミートパイ、島のパインソースを添えて

○紫イモと生クリームのサンドイッチ
 紫イモをアイスでなくデザートサンドイッチで食べてみる
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------

[PR]
by webmag-b | 2006-12-05 17:15 | 06 トロピカルジャムセッション