連載「石垣島の美味しいスパイス パナリ食堂」とは...
かつて渋谷で世界の「辺境」音楽を集めた伝説のレコード店「パリペキンレコーズ」を作り、現在は、石垣島に在住。「辺境」音楽レーベル「360°records」を主宰する 虹釜太郎(にじかまたろう)による、沖縄・石垣島発スパイシー料理生活コラム。
東京在住時代より、オリジナルの「スパイス」料理の実験を繰り返してきた虹釜が、スローライフでもなく、LOHASでもない、沖縄の島の生活を報告。
「パナリ食堂」とは彼の頭の中にある架空の食堂。そこでは、島の食材と世界のスパイスによるオリジナルメニューが、日々生まれている。この連載では、都会でしか暮らしたことのない人間が 島に移住するとどうなるのかの驚きととまどい、そして、そんな生活の中で考えた、一風変わったオリジナルスパイス料理を紹介する。
第4回 沖縄そばとカラプルクラの遠〜い関係
●残暑の島からこんにちは!
さて日本を代表するラーメンマンガとカレーコミックであいついで沖縄ネタがどっぷり
フォーカスされている昨今、内地のみなさんはいかがお過ごしでしょうか。
石垣島ではハブクラゲが大量発生中! 危険! 
島も急遽対策をいろいろ練っています。食用酢を2倍か3倍希釈したペットボトルは海水浴には必須。
喉が渇いたら、西表島の黒糖をつまみにぐびぐびゲホゲホ飲んじゃえばいーしね。

このきつい残暑、料理漫画の沖縄ネタでは、
沖縄イカ墨麺VSダブルテイストてびち麺という「沖縄ラーメン勝負」や、
白レイシ(白ゴーヤ)とコーレーグースを使った豚足のゴーヤ肉詰めカレー
VSサグ風ゴーヤチキンカレーという「沖縄カレー対決」が盛り上がりまくる中、
ここ石垣島ではそんなもん全然盛り上がってません。
島はすっかり観光客が街中をチャリで乗りまわしまくる
(最近は市街地から離れた宿が宿泊客に自転車無料利用サービスするところもあり)。
姿をたくさんみかける石垣島。
日焼けをなめきっていたお客さんは相変わらず後をたたず、病院にかつぎこまれたりしています。
もちろんいったん焼けど状になってしまえばあとの旅行プランはすべてパー。
しかしせっかくきたんだからもったいないと一日離島を歩き回ったりする人が多い。
そうなるともう歩くこともままなりません。日焼けには十分注意。

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朝早くから島の給食作ってます@石垣島

とかいってる自分も先日、日中の作業が続いて、発熱性消耗性疾患になっちゃいました。
いつも飲んでるハイビスカスアイスティーやレモンジンジャーティー、
オレンジピールィーにゴーヤ茶(沖縄の人、このお茶大っ嫌いな人多し)、
さんぴん茶をいくら飲んでも、ぐったりなので、ついにスポーツドリンクを投入。
いったん体がこうなるとすぐには回復しません。旅行者の人は注意! 
冗談抜きで死者もでているこの暑さ。
沖縄本島ではクーラーが壊れてそれでも修理もしないままにしていた
おばぁが自宅で!熱中症で死亡したりする事件も相次いでいます。
ぼくのいきつけの、イカ墨ご飯がおいしい居食屋の親父はいいます。

島じゃぁ働くのは午後六時からにしたほうがいいゾォー! 

うーん、その通り。

●島には八重山そばを食べられるお店がいっぱい
しかしこんなに危険な暑さの中、自分はこの一ヶ月たるもの、沖縄そば、
ここは石垣島なので、八重山そばを食べっぱなし。
石垣島以外の離島も含めて、八重山そばが食べれるお店は、定食屋も含めるとけっこうな数だ。
人気店である来夏世(くなつゆ) をはじめ、石垣公設市場3Fいちば食堂 、
がんじゅー亭、島そば一番地、島創作料理やーちゅー、老舗のゆらてぃく、まーさん道、
地元の人が風邪をひくとそこの「みそ汁」を食べに行くという 麦わらぼうし、老舗食堂のあさひ食堂、
マエザト食堂 、キミ食堂、 川平食堂、なかよし食堂 、白保食堂、牛そばも人気のいしなぎ屋 、ばんな 、
webページのコピーの切り抜きをもった観光客が行きたくてしかたない明石食堂 、
老舗丸八そば屋、観光客に人気のゆうくぬみ、
夜は「石垣牛焼肉専門店」だが昼間は「石垣島どんぶり専門店」と化すお店の「石垣牛そば」、
「石垣牛すじそば」がランチで食べれる石垣島フュージョンダイニング、 川平公園茶屋、
初めて訪れた10数年前には、店内にはまだ改造エレキマンドリン
(三線弾きだけに、マンドリンの弦を一本はずしているのがさすが!だ、おばぁ!)
を弾きまくるおばぁがいた 真仁屋そば屋……。

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そばの日だよ!

他にもたくさんあるが、現在、自分が頻繁に行くお店は主に七軒。
しかしそのうちの一軒、一番頻繁に行っていた「すば屋ボサノバ」は今年惜しまれながらもついに閉店。
最終日には女将手作りのお菓子をいただいたが、結局、閉店してから数ヶ月たったいま、
いろんな八重山そば屋を食べ歩き続けて思うのは、
いかに「ボサノバ」の少し白濁気味のスープが美味しかったかということ。

●パナリ食堂的「八重山そば=やさしさ」考
自分のイメージする八重山そばとはどういうものか。
沖縄そばの中太麺と比べて麺が丸くて細く、食感は沖縄そばほどぼそっとしていないが、
ラーメンの麺よりは乾いた感が漂い、スープは沖縄そばほどかつおが強すぎず、
トンコツのコクがきいていながらトンコツラーメンほどではなく、
のどごしはトンコツラーメンより、そして沖縄そばよりすっきりとしていて、
そこはかとない甘さも漂う…。

そして全体からにじみでる、やさしさ。

ラーメンやその他の類似しているといわれる麺料理と比べても、明らかなその
癒し、なのか、ゆるさ、なのかわからないやさしさ…。

というものだろうか。
攻撃性こそが身上のラーメンよりはやはり、やさしい食べ物ということになるだろう。
ラーメンという存在がほとばしるアイデアで縦横無尽にいけいけのロナウジーニョタイプの選手だとしたら、
八重山そばは、身長が低いのにものすごい包容力でチームをまとめるイタリアのDFのような存在だろうか。
余計わかりにくくなったような気もするが、
しかしラーメンと八重山そばはやはりまったく別の食べ物だ。

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八重山そば(大)。老舗のここはスープは白濁していない。

●ラーメン漫画から思いを馳せる
ついに沖縄ネタにふみこんだラーメン漫画『ラーメン発見伝』の「沖縄編」
第4回である「完成!!沖縄ラーメン」では、
主人公藤本のライバルである篠崎が作る「沖縄ラーメン」は、麺が黒く、具はスーチカ
(「スーチカ」とは沖縄塩漬煮豚のこと、石垣島には「スーチカラーメン」を食べれるお店もあり)、
海ブドウ、沖縄もずく、具のスーチカ以外には、動物系は一切使っておらず、
スープは、煮干し、カツオ節、昆布、沖縄産海塩(沖縄の塩といってもいろいろあるが
そこまで詳しくはフォローされていない、与那国の塩とかままじで美味しいゾ!!)
+スープ表面にハリセンボンの干物の魚粉を浮かせ、
島トウガラシで作った香味油を浮かせて、辛味のアクセントとし、
麺にはイカ墨を練りこみ、カン水を使わず、木灰汁のみ使用、というもの。
一方、主人公の藤本はといえば、あくまで「沖縄そばの中にラーメンを発見する」ことを基本としながらも、
沖縄食材を使った「ダブルテイスト」で勝負。
基本となるスープと麺にはあくまで沖縄そばと重複する食材のみを使用。
しかしあっさりだしの沖縄そばとは違い、
トンコツを半濁するくらい煮込み、カツオだしも思いっきりきかせている。
石垣島の閉店してしまった「ボサノボ」もこのタイプだったんだよなー。おいしかったのに。

そして藤本はスープが強いと沖縄そばに多い茹で置き麺ではコシが弱くなると考え、
茹で立て麺を使用。木灰汁も使わず。
そして肝心の「ダブルテイスト」の仕掛けとは、てびちの骨を抜き、そこの空いた部分に、
フーチバーと島唐辛子をカツオだしで煮込んでゼラチンで固めたものを仕込んでいるというもの。
スープの熱でゼラチン質が溶け出せば、フーチバーと島唐辛子が混ざって味わいが複雑になるという仕掛け。
沖縄そば屋には必ずおいてあるコーレーグースに藤本はヒントを得たと語る。

コミックを読むだけならこのアイデアはさすがと思うし、十分楽しい。
しかし石垣島で普段からフーチバーじゅーしぃ(雑炊)や、フーチバーたっぷりの山羊汁を食べ、
また日々食べる八重山そばにコーレーグースをついつい入れすぎて
(少しいれすぎただけでスープの味はまったく消えるくらい辛い)
しまうのを経験している身からすると、フーチバーの香りはかなりきつい!!!
ものであるというのを日々実感しているので、
この藤本の仕掛けはかなりバランス調整が難しいものである気がしてならない。
食べていて早めの段階でもしフーチバー効きすぎのスープに変化してしまえば、
それは山羊そばの変形?になってしまうのだ。
別小皿で沿え、好きな段階で投入という風にしたらいいのかもしれない。

しかし『ラーメン発見伝』に限らず、料理漫画で沖縄ネタに取り組むなら、
ぜひ「沖縄冷やしラーメン編」にぜひ挑戦してほしいもの。

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ハーブ冷やし黒ごま担々麺。シソと麺と味噌をからめると涼しい。


●「沖縄冷やし麺」事情
「沖縄冷やし麺」という「ジャンル」の不思議。
現在、内地の夏の冷やしラーメン戦争はかなりエスカレートして、
どんぶりからドライアイスの霧が立ち上がるものや、はじめからスープを麺にあえてあるものなど
いろんな仕掛けが冷やしラーメンを盛り上げる中、ここ石垣島では、
というか沖縄全体でもそうだけど、
「冷やし麺」文化自体がちっとも盛り上がっていない。
どころか発展してきた歴史がほとんどない。
こんなに暑いところなのに不思議だよね!?! 
冷やしソーメンはほとんど食べず、ソーミンチャンプルーばっかり。
冷やしラーメンはまったくなく、
真夏でも沖縄そば、八重山そば、ソーキそば、三枚肉そばの熱いスープを平気ですする。

中学生、高校生はアイス大好き(八重商!!)だけど、
料理では、冷やし麺、がお店のメニューにもなけりゃ、
多くの家庭で食べられて、いろんなバージョンが無数に発展してきた歴史もない。
みんな暑さにやっぱり強いのか。
もちろん暑さ対策のゴーヤ、へちま料理はよく食べるからそれでいいのか。謎である。
もちろん「冷やし中華」自体は島でほとんど食べることはできない。
もし、石垣島で「冷やし麺」ニューウェーブの潮流があれば今回ぜひとりあげたかったのだけど、
どこの店にもメニューでも裏メニューでもおいてないんじゃそれも無理。
石垣牛「そばカレー」はあったけどね。

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「カレー南蛮」でも「カレーそば」でもない、石垣牛入りの「そばカレー」
沖縄そばの平打ち麺にカレーソース

というわけで、この暑いさなかひたすら八重山そばを食べまくりました。

●思い出す麺の記憶
ひたすら島そばを食べていて思い出すことがあった。
だいたいお店はおばぁがそれを供してくれるところが多いけれど、たまにおじぃが作っているところもあり、
そんな光景とこの島そばの味わいにずーっと漬かっていると、何回も白昼夢のように思い出すことがあった。
それは、東京近郊のとある、長崎ちゃんぽん専門店にしてとんこつラーメン専門店での光景。
このお店はかなり濃い目の、
おそらくスープ継ぎ足しの歴史が生むだろう深ーい味わいの「長崎ちゃんぽん」と
これまた濃い味の「とんこつラーメン」の両方が売り。
常連はともかく、遠方からきたお客さんは
どっちにしようかとひたすら悩むことになる。
そしておれの場合。もうやけくそでなにも悩まず一気に、
ダブル名物の「長崎ちゃんぽん」と「とんこつラーメン」を同時にオーダーした。

すると店のおばぁは少しもひるまず、オーダーを了解。
その直後に目の前でしゃかしゃかと動き出した二人を見ておれはなんかうれしくなってきた。
つまりこのお店では「長崎ちゃんぽん」をおばぁが、
そしておそらく旦那さんであるおじぃが「とんこつラーメン」を作ることになっているのである。
ふたつのオーダーを同時に出したおれだが、なぜか無意識に、
その丼は時間差で供されるものとして油断してぼんやり年季の入った店内を見まわしていたその刹那、
ドコン、ドコンっ
と鈍い音がふたつほぼ同時に、しかし半拍ずれてカウンターに響いた。

顔をあげると、おばぁはにっこり、おじぃはニヤリ。
つまり、「長崎ちゃんぽん」と「とんこつラーメン」はまったく同時に出てきたのである。
他の客がなにやらこっちを見てささやきはじめるのをまったく聞かず、おれはびびりながらも、
ふたつの麺を同時にステレオ喰いしたのであった。
そしてこのステレオ喰いを続ける中で、おれの脳内で起きたこととは何か。
どちらもこってりしたスープながらも、スープも麺ももちろん形態がまったく異なる麺、
しかしそれを同時に食べることで、また別の小皿に両方を混ぜたりして
やけくそにフュージョン喰いを続けているうちに、
だんだん、「長崎ちゃんぽん」と「とんこつラーメン」の境界領域が溶け出していく。
九州麺文化のスリップストリームがいまおれの脳内でえもいわれぬ景色を……。

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少し変わった顔をしたシーサー

っておおげさな話ではないが、そんな体験をしてしまったことをこの一ヶ月の島そばラリーで
つらつら思い出してしまったのである。
20歳過ぎまで沖縄体験や沖縄食体験をまったくしてこなかった内地の人間が、
島に降り立ってはじめて食べる「沖縄そば」体験とは、
長年「内地」で食べなれてきた「ラーメン」とのいやおうのない対照処理作業が
自分の意思とは関係なく脳内で行われるのは疑いもない事実。
石垣島に移住している自分でさえ、島そばを食べるたびに、
沖縄そば文化内だけでのそれではなく、やはりいままでの人生で食べてきた、
内地の「ラーメン」の姿、味、たたずまいとの対照が無意識に脳内で行われるのを否定することは不可能だ。
特にここひと月はさらに集中して八重山そばを食べたので、特にそれを実感。


●混濁する記憶の謎・南米料理カラプルクラ
しかし、八重山そばをこれだけ 短期間に集中して食べることにより、
はっきりとおれの中に浮かんできたイメージとは、内地のいろんなラーメンたちのそれではなく、
先ほど述べた「長崎ちゃんぽん」と「とんこつラーメン」の彼岸に渡る橋!、
秘伝の長崎ちゃんぽん(肝っ玉おっかつぁん)と
とんこつラーメン(頑固ループ一徹おとっつぁん)の境界領域融合体験と、
もうひとつ南米料理「カラプルクラ」の存在だ。

なぜ八重山そばを食べまくっている間中、カラプルクラを何回も思い出すことになったのか。
自分でもたまに作っていた「カラプルクラ」とは南米の豚肉スパイス煮込み料理。
日本で作るなら、カラプルクラのスパイスセットを入手すれば簡単にできる。
この南米スパイスセットで作るカラプルクラを食べるたびに、
いつも思い出すのは、
肝っ玉おばぁの秘伝の長崎ちゃんぽんと
頑固ループ一徹おとっつぁんのとんこつラーメンとのステレオな味わいの記憶。
右から左からなんともいえないとんこつのあの香りと味が。。

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老舗沖縄料理屋のソーキそば。柔らかーく煮込まれてるソーキ

なぜここでこの味の記憶が混濁するのか。
カラプルクラに入れるパパセカという乾燥ジャガイモと豚肉の煮込み具合の化学反応なのか。
肝っ玉おばぁの秘伝の長崎ちゃんぽんと頑固ループテープエコーなおとっつぁんの…(しつこい!)の店の、
他のとんこつラーメン店では感じない妙に深すぎる味わいは
たぶんお店の開店当時からの継ぎ足し味ゆえだろう。
そのおいしいくさみと、南米のスパイス、アヒ・アマリージョとパパセカと
豚バラ煮込みのブレンド具合のくさみがたまたま似ちゃっただけかもしれない。
そしてそれが、ときにおいしいくさみをはなつ八重山そばや、
煮込みすぎたソーキのエキスがスープににじみでる島のソーキそばを食べる際に参照される味の記憶として
近いものがあるのかもしれない。

通常1週間以内で島滞在が終わる八重山そば好きの旅行者よりは
かなり長めの期間を設定して挑んだ「八重山そば月間」。
これだけ八重山そばを食べ続けている自分はどうしても、
上記の味の記憶がセットで毎回思いだされるのだからしかたがない。

来月は、ひさしぶりに沖縄本島で、「タコス部」の続きと
アルゼンチン@沖縄な味わいが売りの「ブエノチキン」や、
なぜかアルゼンチン大統領も感動したらしいというアルゼンチン家庭料理を出す沖縄のお店を
探検してこようと思うが、
また八重山そばとは違う沖縄そばのスープと南米の煮込み料理に近い味があれば発見したいと思っている。

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老舗の八重山そばやの「八重山そば」
そばやだが、石垣牛ステーキ、らふてー丼、もずく酢、
パパイアちゃんぷるーもあり。
いつ行っても家族連れと年輩カップルが必ずいる。

●八重山そばへの想いは尽きない
南米には沖縄移民も多い。
けれど、八重山そばとカラプルクラには直接はなんの関係もないだろう。
南米移民最多居住区域とかは石垣島にもないから普段から味が混ざることもありえない。
しかし。しかし。。やはりこの味似てるんだよなー。
特にその似てる感は、少し煮込みすぎちゃったんじゃないのーとか、
ちょっと最近オーダー少なかったデショ的な、意図せず味が凝縮しちゃった感のある、
ソーキそばとかを食べる時にそのセットの記憶が強烈にあぶりだされるのだ。
おそらくは、カラプルクラならではの、メイン食材、パパセカという乾燥ジャガイモの風味、
それと豚肉のからみ具合、そして食材がいたむ直前の味、
この場合は豚肉の煮込みといたみの無限の狭間のくさみが旨味にぎりぎり転化したものが
意図せずフォーカスされてしまっているのかもしれない。
石垣島の定食屋でたまにみかける「スタミナ丼」や「スタミナ定食」、
そして「てっちゃん丼」や「てっちゃん定食」を食べるにつれ、
だったら「石垣島カラプルクラ丼」もあってもいーじゃんと思ってしまう。

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「石垣牛すじそば」@石垣島フュージョンダイニング

現在の八重山そば事情、
島そばのヴァリエーションのポテンシャルとそれへのこだわりのなさっぷりには
いろいろ考えさせられることも多い。
八重山そばにはやはりもう少し白濁系が増えてほしいし、
おばぁ伝承のスープの味はもっと復活してほしい。
島野菜を使うだけじゃなく、島のハーブをふんだんに使った冷やし麺もいろいろやってみてほしいし、
いくら沖縄がラーメン不毛の地だろうと、
ゴーヤといくつかの海藻を入れただけの島ラーメンではなく、
もっといろんな島食材のラーメンをだしてほしいし、
こんだけいろんなお店でイカスミチャーハン、イカ墨汁、イカ墨ご飯、イカ墨おにぎりがあるのだから、
八重山イカ墨そばもはじめてほしい、と普通に思ってしまう。
しかし、そうやって
すぐに新しいイメージをするのがナイチャーの悪いとこだね
みたいに言われるとこっちもなにも言えない。
別に古いものをなくして新しいメニューにと言いたいつもりはまったくない。まったく。
だけれど。。。。。。。
でも島には島のペースがあるだろう。

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石垣島定番百円八重山そば

●そして「やさしさ」に帰結する
豚肉の煮込み系の料理はそれこそ世界中にある。
沖縄と食文化圏的には近いはずのハワイ、カラプルクラの南米、骨も一緒に煮込むところでの「日本」内でも、
沖縄と九州(九州内でも細かく違ってくる、博多、久留米、鹿児島。。。)の違い。
秘伝の長崎ちゃんぽんと頑固ループなおとっつぁんのとんこつラーメンのステレオ食いは、
食べた瞬間にそれを食す自分の体は同じ九州内を瞬間場所移動する。

あるものを食べることで、その瞬間に、
その食のルーツの場所に自分の体が瞬時にワープしたり、
引き離されたりしてしまうこと。
この味とあの味は似ていないと思っていたはずなのに、
食べた瞬間に、その未知の食のルートがばしっとつながってしまうという経験。
ある食べ物とまた別のある食べ物が実は
元をたどればもしかしたらつながっているかもしれないという不思議さ。

八重山そばのやさしいくさみと甘さと、
カラプルクラの独特の甘さとやさしい煮込み具合と美味しいくさみの共通点は
煮込み系の中でも「やさしさ」がにじみでる煮込み系だろう。
一方、博多や久留米ほかのトンコツ煮込みはやはり徹底した「攻撃性」が根っこにある。
「やさしさ」はときに「ゆるさ」にも通じるが、
「攻撃的」なスパイス料理に膨大な数、接してきた自分にとっては
カラプルクラと八重山そばの「やさしさ」はとても新鮮に感じた。

いつかもう一度、沖縄そばとカラプルクラの遠〜い関係について、
沖縄から遠くアルゼンチンや他の南米に移民した先人たちの遠い記憶に想いをはせながら、
太古の咀嚼する意思で喰らい直して、そしてセットでよみがえる味の記憶の謎にけりをつけたいと思う
。。。。しかしそれにはもうしばらく時間が必要だ。

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いろんな赤が@石垣島

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今回のパナリ食堂のメニュー

「八重山イカ墨ラビオリそば」
世界に誇る「イカ墨食文化圏」である石垣島。それを活かさない手はない。たまにイタリア料理であるイカ墨練りこみパスタ群。イカ墨フェトチーネとかとっても美味しいですよね。「八重山イカ墨ラビオリそば」では、たっぷりのイカ墨を練りこんだそばとラビオリをダブル麺状態で投入。イカ墨ご飯で供される濃さのスープに、甘さのあるトマトをあわせる。

「沖縄豚肉と石垣島イカ墨を使ったカラクッコ」
本来はたまねぎと豚肉と川魚を小麦粉生地で包んでオーブンで焼くフィンランド料理を八重山食材で。

「石垣カラプルクラ丼」
アヒ・アマリージョ他南米スパイスと、パパセカ(乾燥ジャガイモ)、沖縄豚肉、ソーキ、をおろしにんにくで炒めて、じっくり煮込んだ「島カラプルクラ丼」。丼には石垣島のハーブを日替わりで使った香り油をかける。パパセカという乾燥ジャガイモは島でいちから作るのは難儀。これは南米からの輸入品を使う。さてこのマリアージュは……?
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# by webmag-b | 2006-09-08 19:55 | 04 沖縄そばとカラプルクラ